eKYC|なりすましによる詐欺の対策

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 近年、手軽にオンラインでサービス展開できるようになった反面オンライン本人確認のなりすまし被害が増加しています。しかし、なりすまし手口が分からずどのような対策をすればよいか悩まれている方も多いのではないでしょうか。本コラムでは、なりすましによる被害の事例から対策まで解説していきます。

 

オンライン本人確認とは

オンライン本人確認(eKYCElectronic Know Your Customer)とは、デジタル技術を活用して本人確認を行うプロセスを指します。従来のKYCが書類の提出や対面での確認を主軸としていたのに対し、eKYCはリモートで効率的に本人確認を行える仕組みです

 

なりすまし詐欺とは?その特徴

なりすまし詐欺とは、他人になりすまして不正行為を行う詐欺の一種です。具体的には、他人の個人情報を使ってサービスを利用したり、偽の身分証明書を使ってサービスを不正利用したりするケースがあります。

 

なりすまし詐欺の被害事例

実際の被害事例として、以下のようなケースがあります。

① クレジット会社被害事例
偽造された身分証明書や他人の個人情報を使ってクレジットカードを不正に申し込み、高額な買い物を繰り返し行った事例があります。被害が発覚するまでにカード会社が負担する損害額が増大することが問題です。本人確認書類の審査が甘い場合や、不正に取得された身分情報が使われたケースがあります。
② 銀行被害事例
偽のeKYCプロセスでオンライン銀行口座を開設し、不正な送金やマネーロンダリングに利用されるケースがあります。一部では、盗まれたIDとパスワードを用いて不正口座を開設し、詐欺の資金を隠匿する目的で使用された事例も確認されています。口座開設時に生体認証や高度な本人確認を省略した場合に発生しやすいです。
③ 証券会社被害事例
他人名義で証券口座を開設し、不正な取引を行った事例があります。特に仮想通貨や株式市場での大規模取引に関与し、詐欺的な利益を得る目的で使用されることがあります。証券取引のeKYCプロセスで、偽造されたパスポートやIDが通過した場合に発生します

 

④ 仮想通貨会社被害事例
他人の個人情報を使い、仮想通貨ウォレットを開設詐欺やランサムウェア攻撃で得た仮想通貨を不正に移動させるための手段として使用された事例があります。また、詐欺的ICO(新規仮想通貨公開)に巻き込まれるケースも確認されています。匿名性の高さから、仮想通貨取引所は詐欺師にとって標的になりやすいです

 

⑤ 不動産会社被害事例
偽の身分証明書を用いて不動産賃貸契約を締結し、賃貸料を踏み倒す手口があります。また、偽名で契約を行い、違法な活動(サブリース詐欺や不正滞在など)に物件を利用する事例も確認されています。契約時の本人確認が不十分な場合に発生します。

 

⑥ 古物被害事例
盗まれた身分証を使い古物商の取引を行い、不正に入手した商品を転売した事例があります。特に、高額な骨董品やブランド品の売買で被害が目立ちます。古物営業法に基づく本人確認がデジタル化されており、適切に運用されない場合に問題が生じます。

 

⑦ 出会い系被害事例
他人の個人情報を利用して出会い系サイトに登録し、金銭詐取を目的とした詐欺やストーカー行為に悪用された事例があります。さらに、他人名義での登録により、トラブル発生時の責任追及が困難になるケースもあります。本人確認が形だけのプロセスに留まる場合、悪用されるリスクが高いです。

 

⑧ 海外送金会社被害事例
偽造IDを使い、マネーロンダリングや不正送金に利用された事例があります。特に、他人名義での送金を繰り返し行い、詐欺資金を隠蔽する目的で使用されることが確認されています。多国籍取引のため、各国の規制やプロセスの違いを悪用されるケースが多いです

 

なりすまし詐欺が与える影響

なりすまし詐欺が与える影響は多岐にわたります。

金銭的損害: 被害者が負担する損害額は高額になることが多く、回収が難しいケースもあります。

信用の喪失: 被害に遭った企業や個人が信用を失うことで、長期的な影響が出る可能性があります。

法的問題: 不正行為の責任を巡って法的なトラブルに発展することもあります。

 

なりすまし詐欺の対策

企業としては、以下の3つのポイントを押さえる必要があります。

本人確認システムの強化

以下の3つポイントを抑えるために、身分証発行元の認証やAIやサーモグラフィーなどの最新技術を活用したシステムを導入する必要があります。

① 身分証のICの真贋判定
② 顔写真の真贋判定
③ 身分証の顔画像と顔写真の照合時の真贋判定

 

身分証のICの真贋判定が必要な理由

偽の身分証を見抜くためには、身分証自体が本物か判断するための仕組みを入れる必要があります。Asiannetでは、行政発行のICを発行元の情報と照合し、偽物か本物か改ざんされたかどうか確認するサービスを提供しています。

 偽の身分証の事例

① 身分証の表面にシールを貼って偽の身分証利用する手口
② ICまで偽の身分証を作りこみ、IC内の偽の個人情報と画像を利用する手口

 

顔写真の真贋判定が必要な理由

近年、ChatGPTなどのAIにより偽の顔画像や動画を簡単に作れるようになりました。この偽画像をeKYCで活用されると人の目では見わけがつかなくなります。

 

身分証の顔画像と顔写真の照合の真贋判定が必要な理由

2つの顔画像を照らし合わせて同一人物か見分ける際に、人の目では判断がつかない場合が散見されます。例えば、5年間で20キロ太り身分証と写真の顔画像に差がある場合はどうでしょう。また、双子の場合人の目で見わけがつくでしょうか。見極められるeKYCのオペレーターもいるかもしれませんが、すべてのオペレーターが一定の質を担保して見極める事は困難です。

 

万が一の被害に備えるために

なりすまし詐欺に遭った場合に備え、以下の対応を考えておくことが重要です。

1. 被害報告: 速やかに警察や関連機関に報告。
2. 利用停止の手続き: 不正利用されたサービスやアカウントを停止する。
3. 保険の活用: サイバー保険や個人情報保護保険を検討。
4. 

まとめ:なりすまし詐欺を防ぐために必要な意識と行動

なりすまし詐欺の被害を防ぐには、なりすまし詐欺の特徴とリスクを把握して、適切な対策を講じることが不可欠です。本コラムで紹介した対策を実践し、システムを強化していきましょう。